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職業の違い

司法書士と土地家屋調査士の違い|権利に関する登記か、表示に関する登記か

司法書士と土地家屋調査士は、どちらも法務大臣が行う国家試験と連合会の名簿への登録を経る、登記に関わる国家資格です。違いは担当する登記の種類と周辺業務で、司法書士は所有権移転など権利に関する登記や会社・法人の登記の代理、裁判所に提出する書類の作成などを担い、土地家屋調査士は土地の地目・地積や建物といった表示に関する登記のために調査・測量を行い申請を代理します。認定司法書士には簡易裁判所での代理業務も認められています。

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  1. 01結論:権利の登記と法律事務か、表示の登記か
  2. 02司法書士の業務:登記の代理、裁判書類の作成、供託
  3. 03認定司法書士:簡易裁判所での代理と、筆界特定での調査士との接点
  4. 04土地家屋調査士の業務(要約):表示登記のための調査・測量と申請代理
  5. 05資格の仕組み:どちらも法務大臣の試験、登録先は各連合会の名簿
先に結論

この記事の答え

違いの軸は「権利に関する登記と法律事務を担うか、表示に関する登記を担うか」です。司法書士は司法書士法に基づく国家資格で、登記又は供託に関する手続の代理、法務局や裁判所・検察庁に提出する書類の作成、登記・供託に関する審査請求の代理、相談が法定の業務です(同法第3条第1項第1号から第5号)。不動産登記でいえば、所有権の移転や抵当権の設定といった「権利に関する登記」が中心で、会社・法人の登記も扱います。さらに、研修を修了して法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)は、価額140万円以下の民事紛争などについて簡易裁判所での代理業務も行えます。土地家屋調査士は土地家屋調査士法に基づく国家資格で、不動産の「表示に関する登記」に必要な土地・家屋の調査・測量と、その申請手続の代理が中心です。同じ不動産でも、物理的な状況を登記する段階は調査士、権利関係を登記する段階は司法書士、という分担になります。

この記事の要点

  • 司法書士は権利に関する登記(所有権移転・抵当権など)と会社・法人登記の代理、裁判所提出書類の作成、供託の代理が法定業務(司法書士法第3条第1項)
  • 土地家屋調査士は表示に関する登記(地目・地積・建物の状況)のための調査・測量と申請代理が中心で、業務の出発点が現地の調査・測量にある
  • 認定司法書士は140万円以下の民事紛争等について簡易裁判所での代理が可能。試験はどちらも法務大臣が筆記・口述で行い、登録先は日本司法書士会連合会の名簿と日本土地家屋調査士会連合会の名簿
図で見る司法書士の法定業務
  • 登記又は供託に関する手続について代理すること
  • 法務局・地方法務局に提出する書類の作成
  • 法務局長に対する登記・供託に関する審査請求手続の代理
  • 裁判所・検察庁に提出する書類の作成
  • これらの事務に関する相談
SECTION 01

1. 結論:権利の登記と法律事務か、表示の登記か

どちらも法務省の管轄する登記制度に関わる国家資格で、名前も似ているため混同されがちです。分ける基準は、不動産登記が「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の二層でできていることです。土地家屋調査士は、土地の所在・地番・地目・地積や建物の種類・構造・床面積といった、不動産の物理的な状況を示す表示に関する登記を担います。司法書士は、所有権や抵当権など権利関係を示す権利に関する登記を担い、さらに会社・法人の登記、供託、裁判所提出書類の作成まで広く扱います。

司法書士法第1条は司法書士を「登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家」と位置づけており、登記の代理人という枠を超えて法律事務全般に関わる資格です。土地家屋調査士法第1条が調査士を「不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家」とするのと対照的です。建物を新築したときは、まず調査士が表示登記(建物表題登記)を行い、その後に司法書士が所有権保存登記など権利の登記を行う、という順序で両者がつながる場面もあります。

  • 不動産登記は表示に関する登記(調査士)と権利に関する登記(司法書士)の二層構造
  • 司法書士は登記に加えて供託・会社法人登記・裁判書類作成など法律事務全般を扱う
  • 新築建物では、調査士の表示登記→司法書士の権利登記という順で両者が関わることがある
SECTION 02

2. 司法書士の業務:登記の代理、裁判書類の作成、供託

司法書士の業務は司法書士法第3条第1項に列挙されています。第1号は登記又は供託に関する手続について代理すること、第2号は法務局・地方法務局に提出する書類の作成、第3号は法務局長に対する登記・供託に関する審査請求手続の代理、第4号は裁判所・検察庁に提出する書類の作成、第5号はこれらの事務に関する相談です。不動産の売買に伴う所有権移転登記や抵当権設定登記、相続登記、会社の設立登記など、権利関係を公示する手続の代理が実務の中心になります。

これらの業務は独占されています。同法第73条第1項は、司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者は、第1号から第5号までの業務を行ってはならないと定めています(他の法律に別段の定めがある場合を除く)。注意したいのは、第4号の裁判所提出書類の作成は「書類の作成」であって、地方裁判所などでの訴訟代理そのものではない点です。訴訟の代理人になれる範囲は、次に述べる認定司法書士の簡裁訴訟代理等関係業務に限られます。

  • 法定業務は登記の代理、供託の代理、法務局・裁判所・検察庁への提出書類の作成、審査請求の代理、相談(第3条第1項第1号〜第5号)
  • 不動産登記では所有権移転・抵当権設定・相続登記など権利に関する登記が中心。会社・法人の登記も扱う
  • 第1号〜第5号の業務は司法書士等でない者は行えない(第73条)。裁判所提出書類の作成と訴訟代理は別のもの
SECTION 03

3. 認定司法書士:簡易裁判所での代理と、筆界特定での調査士との接点

司法書士の中でも、法務省令で定める研修を修了し、法務大臣の認定を受けた者は「簡裁訴訟代理等関係業務」を行うことができます(司法書士法第3条第2項)。法務省の案内では、対象は簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等で、民事訴訟、訴え提起前の和解、支払督促、証拠保全、民事保全、民事調停、少額訴訟債権執行に加え、裁判外の和解や仲裁の代理も含まれます。司法書士は全員が代理人になれるわけではなく、認定を受けた者に限られる点が制度の要点です。

土地家屋調査士との接点として筆界特定があります。第3条第1項第4号には、筆界特定の手続で法務局に提出する書類の作成が司法書士の業務として含まれ、第8号では、対象土地の価額に関する一定の計算額が140万円相当の基準を超えないものについて、認定司法書士が筆界特定の相談・代理を行えることも定められています。つまり筆界特定は、調査士が代理を担うのが原則の場面でありながら、司法書士も書類作成や、認定を受けた場合の代理で関わることがある手続です。

  • 簡裁訴訟代理等関係業務(140万円以下の民事事件等の代理)は、研修修了と法務大臣の認定を受けた司法書士に限る(第3条第2項)
  • 対象には民事訴訟・支払督促・民事調停・少額訴訟債権執行のほか、裁判外の和解や仲裁の代理も含まれる
  • 筆界特定では、司法書士は提出書類の作成を担い、認定司法書士は価額の基準内なら代理も可能(第3条第1項第4号・第8号)
SECTION 04

4. 土地家屋調査士の業務(要約):表示登記のための調査・測量と申請代理

土地家屋調査士側は要点だけを述べます。法定業務の中心は、不動産の表示に関する登記に必要な土地・家屋の調査と測量を行い、その成果をもとに表示登記の申請手続を代理することです(土地家屋調査士法第3条)。あわせて、土地の筆界を明らかにする筆界特定の手続の代理も業務に含まれます。司法書士との決定的な違いは、業務の出発点が現地での調査・測量にあることと、扱う登記が権利ではなく表示に限られることです。土地を分ける分筆登記や、建物を新築した際の表題登記などが代表的な場面です。調査士の業務の詳しい内容や、測量士との違いは、別ガイド「土地家屋調査士と測量士の違い」で整理しています。

  • 表示登記に必要な調査・測量と、その申請手続の代理が中心(土地家屋調査士法第3条)
  • 司法書士との違いは、現地の調査・測量が出発点であることと、扱う登記が表示に関するものに限られること
  • 詳細は別ガイド「土地家屋調査士と測量士の違い」を参照
SECTION 05

5. 資格の仕組み:どちらも法務大臣の試験、登録先は各連合会の名簿

取得の仕組みには共通点が多くあります。司法書士試験は法務大臣が毎年1回以上行い(司法書士法第6条)、筆記試験と、筆記合格者への口述試験で構成されます。日本司法書士会連合会の試験案内によれば、年齢・性別・学歴等に関係なく誰でも受験でき、筆記試験は7月上旬、口述試験は10月上旬に行われます。合格後は、事務所所在地の司法書士会を経由して、日本司法書士会連合会に備える司法書士名簿への登録を受けて初めて業務を行えます(同法第8条)。なお司法書士法第4条には、裁判所事務官・法務事務官等として通算10年以上従事し法務大臣が認めた者に資格を認めるルートも定められています。

土地家屋調査士試験も法務大臣が毎年1回以上行い、筆記・口述で構成され、合格後は日本土地家屋調査士会連合会の名簿への登録が必要です。まとめると、試験の実施者(どちらも法務大臣)、試験の形(筆記・口述)、連合会の名簿への登録という骨格は共通し、違いは試験で問われる知識と、その先で担う業務です。進路を考える目安は、権利関係の法律事務や裁判所提出書類まで広く扱いたいなら司法書士、現地の調査・測量を土台に表示登記を担いたいなら土地家屋調査士、という担当範囲の違いです。制度の確認先は、e-Gov法令検索の司法書士法(第1条・第3条・第4条・第6条・第8条・第73条)と土地家屋調査士法、法務省の司法書士制度の案内です。

  • 司法書士試験は法務大臣が年1回以上実施し筆記・口述で構成。学歴等の受験資格はなく誰でも受験できる
  • 司法書士は日本司法書士会連合会の名簿、土地家屋調査士は日本土地家屋調査士会連合会の名簿に登録して業務を行う
  • 確認先: e-Gov「司法書士法」「土地家屋調査士法」、法務省の司法書士の業務・認定の案内、日本司法書士会連合会の試験情報

執筆・確認情報

執筆
manapick career編集部
編集
manapick編集責任者
出典台帳の記録日
2026-10-29
確認方法
公的資料と一次情報を出典付きで整理。自動監視による資料の変化検知と、本文の正確性の確認は区別します

参照した公式情報

  • 法務省確認日 2026-10-29/「司法書士の業務」ページ本文で確認。
  • 法務省確認日 2026-10-29/「司法書士の簡裁訴訟代理等関係業務の認定」ページ本文で確認。
  • 日本司法書士会連合会確認日 2026-10-29/「司法書士試験情報」ページ本文で確認。
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)確認日 2026-10-29/2026-10-29に条文本文を実際に開いて確認。第1条(使命)、第3条(業務:調査・測量、申請手続の代理、書類作成、筆界特定の代理等、紛争代理は認定調査士に限る)、第4条(資格)、第6条(試験は法務大臣が年1回以上、筆記・口述、測量士等は調査・測量分野の免除)、第8条(連合会の名簿への登録)、第68条(業務制限・名称制限)を確認。
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)確認日 2026-10-29/2026-10-29に条文本文を実際に開いて確認。第1条(登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家)、第3条(業務:登記・供託の代理、法務局・裁判所提出書類の作成、認定司法書士は140万円以下の簡裁代理と筆界特定の相談・代理も)、第4条(資格)、第6条(試験は法務大臣、筆記・口述)、第8条(司法書士名簿への登録)、第73条(業務の制限)を確認。

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この記事の内容確認日:2026-10-29