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職業の違い

危険物取扱者と消防設備士の違い|危険物の取扱いか、消防用設備等の工事・整備か

危険物取扱者と消防設備士は、どちらも消防法に基づく国家資格で、試験は都道府県知事が行い、免状も都道府県知事が交付します。違いは対象で、危険物取扱者はガソリンなど消防法の「危険物」を製造所・貯蔵所・取扱所で取り扱うための免状(甲種・乙種・丙種)であり、消防設備士はスプリンクラーや火災報知設備といった消防用設備等の工事・整備を行うための免状(甲種・乙種)です。甲種の受験資格にも差があり、危険物取扱者は化学系の学科の卒業等、消防設備士は機械・電気・工業化学・土木・建築系の学科の卒業等が入口になります。

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目次を開く
  1. 01結論:危険物そのものを扱うか、消防用設備等を扱うか
  2. 02危険物取扱者の仕事:製造所等での取扱いと立会い
  3. 03消防設備士の仕事:消防用設備等の工事と整備
  4. 04資格の仕組み:試験はどちらも都道府県知事、甲種の受験資格が違う
  5. 05間違えやすい点と選び方の目安
先に結論

この記事の答え

違いの軸は「何を扱う資格か」です。危険物取扱者は、消防法別表第一に掲げる危険物(ガソリン、灯油、軽油などの性状を持つ物品)を、製造所・貯蔵所・取扱所で取り扱うための資格です。製造所等では、免状を持たない者は甲種又は乙種危険物取扱者が立ち会わなければ危険物を取り扱うことができません(消防法第13条第3項)。消防設備士は、消防用設備等(消火設備、警報設備、避難設備など)の工事・整備を行うための資格で、免状を持たない者は政令で定める消防用設備等の工事(設置に係るもの)又は整備を行ってはなりません(同法第17条の5)。どちらも消防法に基づき、試験は都道府県知事が毎年1回以上行い、免状は試験合格者に都道府県知事が交付する点は共通しています。

この記事の要点

  • 危険物取扱者は危険物そのものを取り扱う資格(甲種・乙種・丙種)。製造所等では免状を持たない者は甲種・乙種の立会いがなければ危険物を取り扱えない(消防法第13条第3項)。消防設備士は消防用設備等の工事・整備の資格(甲種・乙種)で、免状のない者は政令で定める工事・整備を行えない(第17条の5)
  • 甲種と乙種の線引きが異なる。危険物取扱者は甲種・乙種とも取扱いと立会いができ、扱える危険物の種類が省令で分かれる。消防設備士は甲種が工事と整備、乙種は整備のみが対象(第17条の6第2項)
  • 甲種の受験資格は、危険物取扱者が大学・高専で化学に関する学科・課程を修めて卒業した者等又は乙種取得後2年以上の実務経験者(第13条の3第4項)、消防設備士が機械・電気・工業化学・土木・建築に関する学科・課程の卒業等又は乙種取得後2年以上の整備経験者(第17条の8第4項)
数字で見る保安監督・受験資格・届出に関わる期間
危険物保安監督者に必要な実務経験6月以上
甲種の受験資格になる乙種取得後の実務経験2年以上
甲種消防設備士が工事着手前に届け出る期限10日前
SECTION 01

1. 結論:危険物そのものを扱うか、消防用設備等を扱うか

危険物取扱者と消防設備士は、どちらも消防法(昭和23年法律第186号)に基づく国家資格です。同法は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護することなどを目的としています(第1条)。同じ法律の中に置かれた資格ですが、担当する対象ははっきり分かれています。

危険物取扱者の対象は「物」です。同法第2条第7項は、危険物を「別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するもの」と定義しており、ガソリンや灯油のような燃えやすい物品そのものの取扱いを担います。消防設備士の対象は「設備」です。防火対象物の関係者は、消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる消防用設備等を、技術上の基準に従って設置し、維持しなければならず(第17条第1項)、その消防用設備等の工事・整備を担うのが消防設備士です。危険物を安全に「扱う」側と、火災に備える設備を「作り、整える」側という違いです。

  • 危険物取扱者=消防法別表第一の危険物そのものの取扱いが対象(第2条第7項)
  • 消防設備士=消防用設備等の工事・整備が対象。防火対象物の関係者には消防用設備等の設置・維持義務がある(第17条第1項)
  • どちらも根拠は消防法で、試験・免状交付は都道府県知事
SECTION 02

2. 危険物取扱者の仕事:製造所等での取扱いと立会い

危険物取扱者の舞台は、危険物を製造する製造所、貯蔵する貯蔵所、取り扱う取扱所(ガソリンスタンドなど)です。消防法第13条第3項は「製造所、貯蔵所及び取扱所においては、危険物取扱者以外の者は、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者が立ち会わなければ、危険物を取り扱ってはならない」と定めています。免状を持たない従業員が危険物を扱う場合でも、甲種又は乙種の有資格者の立会いが必要という形で、取扱いの現場に資格者が関与する仕組みです。

施設の保安体制にも危険物取扱者が組み込まれています。政令で定める製造所等の所有者・管理者・占有者は、甲種又は乙種危険物取扱者で6月以上危険物取扱いの実務経験を有する者のうちから危険物保安監督者を定め、取扱作業に関して保安の監督をさせなければなりません(第13条第1項)。また、製造所等で危険物の取扱作業に従事する危険物取扱者には、都道府県知事等が行う危険物の取扱作業の保安に関する講習を受ける義務があります(第13条の23)。免状の種類は甲種・乙種・丙種の3つで、取り扱うことができる危険物と、立会いができる危険物の種類は、免状の種類に応じて総務省令で定められます(第13条の2第1項・第2項)。

  • 製造所等では、免状を持たない者は甲種・乙種の立会いがなければ危険物を取り扱えない(第13条第3項)
  • 危険物保安監督者は、甲種又は乙種で6月以上の実務経験を有する者から選ぶ(第13条第1項)
  • 免状は甲種・乙種・丙種の3種類。扱える危険物の種類は免状の種類に応じて総務省令で定める(第13条の2)
  • 取扱作業に従事する危険物取扱者には保安講習の受講義務がある(第13条の23)
SECTION 03

3. 消防設備士の仕事:消防用設備等の工事と整備

消防設備士の仕事は、消防用設備等の工事と整備です。消防法第17条の5は、消防設備士免状の交付を受けていない者は、政令で定める消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事(設置に係るものに限る)又は整備を行ってはならないと定めています。危険物取扱者の規定が「資格者の立会いの下での取扱い」を認める形なのに対し、こちらは工事・整備そのものを免状保有者に限る規定です。

免状の種類は甲種と乙種の2つです。第17条の6第2項は、甲種消防設備士が行うことができる「工事又は整備」の種類と、乙種消防設備士が行うことができる「整備」の種類を、それぞれ総務省令で定めるとしています。条文の書き分けのとおり、工事(設置)まで担えるのは甲種で、乙種の対象は整備です。消防設備士には、工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習を受ける義務(第17条の10)と、業務に従事するときの免状携帯義務(第17条の13)があり、甲種消防設備士が政令で定める工事をしようとするときは、着手の10日前までに消防長又は消防署長へ届け出なければなりません(第17条の14)。

  • 免状のない者は、政令で定める消防用設備等の工事(設置に係るもの)・整備を行えない(第17条の5)
  • 免状は甲種・乙種の2種類。甲種は工事と整備、乙種は整備が対象という書き分け(第17条の6)
  • 消防設備士には講習の受講義務(第17条の10)と免状の携帯義務(第17条の13)がある
  • 甲種は工事着手の10日前までに消防長又は消防署長への届出が必要(第17条の14)
SECTION 04

4. 資格の仕組み:試験はどちらも都道府県知事、甲種の受験資格が違う

取得の枠組みはよく似ています。危険物取扱者試験は危険物の取扱作業の保安に関して必要な知識及び技能について(第13条の3第1項)、消防設備士試験は工事整備対象設備等の設置及び維持に関して必要な知識及び技能について(第17条の8第1項)行われ、どちらも種類ごとに毎年1回以上、都道府県知事が行います。なお、都道府県知事は総務大臣の指定する者に試験の実施に関する事務を行わせることができます(第13条の5、第17条の9)。免状はどちらも、試験に合格した者に対して都道府県知事が交付します(第13条の2第3項、第17条の7第1項)。

受験資格を法律が定めているのは、どちらの試験も甲種だけです。甲種危険物取扱者試験を受けられるのは、大学又は高等専門学校において化学に関する学科又は課程を修めて卒業した者(その他省令で定める準ずる者)、又は乙種危険物取扱者免状の交付を受けた後2年以上危険物取扱いの実務経験を有する者です(第13条の3第4項)。甲種消防設備士試験を受けられるのは、大学、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校において機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科又は課程を修めて卒業した者、乙種消防設備士免状の交付を受けた後2年以上整備の経験を有する者、又は省令で定める準ずる者です(第17条の8第4項)。入口になる学問分野が、危険物取扱者は化学、消防設備士は機械・電気・工業化学・土木・建築と異なる点が、両資格の性格の違いを表しています。

  • 試験はどちらも毎年1回以上、都道府県知事が実施。免状も都道府県知事が交付する
  • 受験資格が法律で定められているのは甲種のみ。乙種・丙種(危険物取扱者)と乙種(消防設備士)には受験資格の定めがない
  • 甲種危険物取扱者の入口は化学系学科の卒業等、又は乙種取得後2年以上の実務経験(第13条の3第4項)
  • 甲種消防設備士の入口は機械・電気・工業化学・土木・建築系学科の卒業等、又は乙種取得後2年以上の整備経験(第17条の8第4項)
SECTION 05

5. 間違えやすい点と選び方の目安

よくある誤解が「危険物取扱者がいれば、消防用設備の工事もできる」というものです。危険物取扱者の免状が関わるのは危険物の取扱いとその立会いであり、消防用設備等の工事・整備は消防設備士の領域です。逆に、消防設備士の免状で危険物の取扱作業の立会いや保安監督を担うこともできません。同じ消防法の資格でも、免状の効力はそれぞれの対象に限られます。もう一つの混同は「甲種・乙種」の意味が両資格でそろっていると思い込むことです。危険物取扱者では甲種・乙種のどちらも取扱いと立会いができ、差は扱える危険物の種類(省令で定める範囲)にあります。消防設備士では、甲種は工事と整備、乙種は整備のみという行為の範囲の差です。

進路を考える目安は、扱いたい対象で決まります。ガソリンスタンドや化学工場、貯蔵施設などで危険物そのものを扱い、将来は危険物保安監督者を目指すなら危険物取扱者です。乙種・丙種には受験資格の定めがないため、まず乙種等から入り、実務経験を積んで甲種を目指す道が法律の仕組みに沿っています。建物の消防用設備の設置工事や点検・整備を担いたいなら消防設備士で、こちらも乙種から入り、整備経験を積んで甲種の受験資格を得る進み方が用意されています。制度の確認先は、e-Gov法令検索の消防法(第2条、第13条、第13条の2、第13条の3、第17条の5から第17条の8)です。

  • 危険物取扱者の免状で消防用設備等の工事・整備はできず、消防設備士の免状で危険物の立会い・保安監督はできない
  • 「甲種・乙種」の意味は両資格で異なる。危険物取扱者は扱える危険物の種類の差、消防設備士は工事ができるかどうかの差
  • 確認先: e-Gov「消防法」

執筆・確認情報

執筆
manapick career編集部
編集
manapick編集責任者
出典台帳の記録日
2026-10-29
確認方法
公的資料と一次情報を出典付きで整理。自動監視による資料の変化検知と、本文の正確性の確認は区別します

参照した公式情報

  • e-Gov法令検索(デジタル庁)確認日 2026-10-29/2026-10-29に条文本文を実際に開いて確認(昭和23年法律第186号)。第2条第7項(危険物の定義)、第13条(危険物保安監督者は甲種又は乙種で6月以上の実務経験者から選任、免状を持たない者は甲種・乙種の立会いがなければ取扱い不可)、第13条の2(免状は甲種・乙種・丙種、都道府県知事が交付)、第13条の3(試験と甲種の受験資格)、第17条の5(免状のない者は消防用設備等の工事・整備を行えない)、第17条の6・第17条の7・第17条の8(甲種は工事と整備、乙種は整備、免状交付と甲種の受験資格)を確認。

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この記事の内容確認日:2026-10-29