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職業の違い

社会保険労務士と行政書士は何が違う? 労働・社会保険の手続きと官公署の許認可で分かれる役割

どちらも書類作成と手続きの国家資格ですが、社会保険労務士は労働・社会保険の分野、行政書士は官公署への提出書類全般と権利義務・事実証明に関する書類が中心です。厚生労働省の制度説明、総務省の制度ページ、行政書士法の条文で確認できる範囲だけで、業務範囲と資格の取り方の違いを整理します。

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目次を開く
  1. 01結論:届出先と分野で分かれる「書類と手続き」の専門家
  2. 02社会保険労務士の業務:労働・社会保険の申請と相談が中心
  3. 03行政書士の業務:官公署の書類と権利義務・事実証明の書類
  4. 04資格の取り方の違い:実務経験の要否と登録先
  5. 05迷ったときの選び方:相談内容の「分野」で切り分ける
先に結論

この記事の答え

社会保険労務士は、労働保険・社会保険に関する申請書等の作成、提出代行、事務代理や、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成を担う資格で、申請書等の作成・提出代行・事務代理は社会保険労務士と社会保険労務士法人だけが行えます。行政書士は、官公署に提出する書類と権利義務・事実証明に関する書類の作成を業とし、この業務は行政書士・行政書士法人以外が対価を得て業として行うことはできません。つまり、従業員の入退社や給与・保険の手続きは社会保険労務士、許認可申請など官公署向け書類は行政書士、という分野の違いが基本です。

この記事の要点

  • 社会保険労務士は労働・社会保険の手続きが専門で、申請書等の作成・提出代行・事務代理は社会保険労務士(法人含む)のみが行える
  • 行政書士は官公署提出書類と権利義務・事実証明に関する書類の作成が業務で、他法で制限される書類は扱えない
  • 紛争に踏み込む代理は両資格とも追加要件があり、あっせん等の代理は特定社会保険労務士、不服申立ての代理は特定行政書士に限られる
数字で見る資格取得の条件の数字
社会保険労務士に必要な実務経験2年以上
社会保険労務士試験の実施毎年1回
行政書士試験の実施年1回
公務員経験による行政書士の資格要件20年(高卒等は17年以上)

社会保険労務士のような実務経験の要件は、行政書士の登録には設けられていません。

SECTION 01

1. 結論:届出先と分野で分かれる「書類と手続き」の専門家

社会保険労務士と行政書士は、どちらも他人の依頼を受けて書類を作成し、手続きを代行する国家資格です。そのため「会社の手続きをお願いする資格」という点では似て見えますが、根拠となる法律と担当分野ははっきり分かれています。社会保険労務士は労働基準法や労働保険・社会保険の諸法令に基づく手続き、行政書士は官公署に提出する書類全般と権利義務・事実証明に関する書類を扱います。

厚生労働省の職業情報サイト(job tag)では、社会保険労務士について、労働・社会保険に関する法令に基づく書類を作成して労働基準監督署・公共職業安定所・年金事務所などへ提出する手続を代行し、事業主や労働者からの相談に応じる仕事と説明しています。一方、行政書士法第1条では、行政書士の使命は国民の利便に資し、行政に関する手続の円滑な実施に寄与することと定められています。届出先と分野を見ることが、両者を見分ける出発点です。

  • 社会保険労務士=労働・社会保険分野の手続きと相談
  • 行政書士=官公署提出書類と権利義務・事実証明書類の作成
  • どちらも他人の依頼を受け報酬を得て行う業務として法律に位置づけられている
SECTION 02

2. 社会保険労務士の業務:労働・社会保険の申請と相談が中心

厚生労働省の「よくあるご質問」では、社会保険労務士の業務として、労働・社会保険に関する申請書等の作成、その提出代行、申請等の事務代理、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成、労働局・労働委員会のあっせん代理、調停の代理、個別労働関係紛争に関するADRの代理、事業主等への相談・指導、裁判所での補佐人としての陳述などが挙げられています。このうち申請書等の作成、提出代行、事務代理は、社会保険労務士と社会保険労務士法人だけが行える業務です。

就業規則や給与規程の作成支援、採用から退職までの労働・社会保険に関する相談と指導も、job tagが挙げる社会保険労務士の仕事です。なお、あっせんや調停、ADRといった紛争解決手続の代理は誰でもできるわけではなく、紛争解決手続代理業務試験に合格し、社会保険労務士名簿にその旨の付記を受けた「特定社会保険労務士」に限られます。通常の手続き代行と紛争の代理では、必要な要件が異なる点がポイントです。

  • 申請書等の作成・提出代行・事務代理は社会保険労務士(法人含む)のみが行える
  • 紛争解決手続の代理は特定社会保険労務士(代理業務試験合格+名簿付記)に限られる
  • 就業規則・給与規程の作成支援や採用から退職までの相談・指導も仕事に含まれる
SECTION 03

3. 行政書士の業務:官公署の書類と権利義務・事実証明の書類

行政書士法第1条の3は、行政書士は他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)を作成することを業とすると定めています。ただし同条第2項により、その書類の作成であっても業務を行うことが他の法律で制限されているものは扱えません。たとえば労働・社会保険の申請書類のように社会保険労務士の業務とされる領域は、行政書士の担当にはならない、という線引きがここにあります。

同法第1条の4では、書類作成のほかに行える事務として、許認可等に関する審査請求など行政庁に対する不服申立ての手続の代理とその書類作成、契約その他に関する書類の代理人としての作成、書類作成についての相談が挙げられています。このうち不服申立ての代理は、日本行政書士会連合会が会則で定める研修の課程を修了した「特定行政書士」に限り行うことができます。また総務省の制度ページによれば、第1条の3の業務は行政書士・行政書士法人でなければ、対価を得て業として行うことはできません。

  • 官公署提出書類+権利義務・事実証明書類の作成が行政書士の業務(行政書士法第1条の3)
  • 他法で制限されている書類は行政書士でも扱えない
  • 不服申立ての代理は特定行政書士(連合会の研修修了者)に限られる
SECTION 04

4. 資格の取り方の違い:実務経験の要否と登録先

社会保険労務士になるには、まず社会保険労務士試験に合格する必要があります。厚生労働省によれば、試験は毎年1回実施されます。ただし合格だけでは足りず、労働・社会保険に関する事務に2年以上従事した実務経験が必要です。実務経験がない場合は、全国社会保険労務士会連合会が行う講習を修了することで資格取得の道が開かれます。そのうえで、同連合会の社会保険労務士名簿に登録を受けて、はじめて社会保険労務士となります。

行政書士試験は、総務省の制度ページによれば指定試験機関である一般財団法人行政書士試験研究センターが年1回実施します。資格者には試験合格者のほか、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の有資格者や、公務員として行政事務に20年(高卒等は17年以上)従事した人も含まれます。登録は、事務所所在地の都道府県行政書士会を経由して日本行政書士会連合会に対して行います。社会保険労務士のような実務経験の要件は、行政書士の登録には設けられていない点が違いです。

  • 社会保険労務士:試験合格+実務経験2年以上(なければ連合会の講習)+連合会名簿への登録
  • 行政書士:試験は指定試験機関が年1回実施、他士業資格者や公務員経験者も資格者になりうる
  • 行政書士の登録は都道府県行政書士会を経由して日本行政書士会連合会へ申請する
SECTION 05

5. 迷ったときの選び方:相談内容の「分野」で切り分ける

依頼や就職先を考えるときは、扱いたい手続きの分野で切り分けるのが確実です。従業員の入社・退社に伴う雇用保険や社会保険の手続き、就業規則や給与規程の整備、労働基準監督署や年金事務所への届出が中心なら社会保険労務士の領域です。許認可の申請書類、官公署へ提出する書類、契約書など権利義務に関する書類の作成が中心なら行政書士の領域になります。両方の分野にまたがる相談では、書類ごとに担当資格が分かれる場合があることも意識しておきましょう。

キャリアとして目指す場合も、問われる知識の中心が異なります。社会保険労務士は労働・社会保険の法令と実務手続きが中心で、登録には実務経験の要件があります。行政書士は行政手続と書類作成が中心で、試験合格後に登録すれば業務を始められます。どちらが上という関係ではなく、届出先と法令の分野が違う別の資格です。自分の関心が「人と雇用・保険」にあるか、「許認可と行政手続」にあるかを基準に選ぶと判断しやすくなります。

  • 雇用保険・社会保険・就業規則まわりは社会保険労務士、許認可申請まわりは行政書士
  • 紛争の代理や不服申立ては「特定」の付記・研修修了がある資格者が担当する
  • 優劣ではなく分野の違い。関心のある法令分野で選ぶのが基本

執筆・確認情報

執筆
manapick career編集部
編集
manapick編集責任者
出典台帳の記録日
2026-10-29
確認方法
公的資料と一次情報を出典付きで整理。自動監視による資料の変化検知と、本文の正確性の確認は区別します

参照した公式情報

  • 厚生労働省確認日 2026-10-29/厚生労働省公式サイトの社会保険労務士制度に関するFAQページ。2026-10-29に実際に開いて業務範囲・独占範囲・特定社会保険労務士の要件・資格取得要件を確認した。
  • 総務省確認日 2026-10-29/総務省の行政書士制度の公式説明ページ。2026-10-29に実際に開いて使命、業務の独占、試験実施機関、資格者、登録手続を確認した。
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)確認日 2026-10-29/令和7年改正法(2026年1月1日施行)の行政書士法現行条文。2026-10-29に実際に開いて第1条の3、第1条の4、第6条等を確認した。第1条の4第1号の本文はページのテキスト抽出で取得できなかったため、その号に関する主張には使用していない。
  • 厚生労働省 job tag(職業情報提供サイト)確認日 2026-10-29/厚生労働省job tagの社会保険労務士(occupationId=83)の職業解説ページ。2026-10-29に実際に開いて仕事内容と登録要件を確認した。

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この記事の内容確認日:2026-10-29