この記事の答え
理学療法士(PT)は身体に障害のある人へ運動や物理的手段で基本的動作能力の回復を図り、作業療法士(OT)は身体・精神に障害のある人へ作業活動を通じて応用的動作能力や社会的適応能力の回復を図ります。言語聴覚士(ST)は音声・言語・聴覚に障害のある人へ訓練や検査を行います。PT・OTは医師の指示の下で、STの嚥下訓練などは医師・歯科医師の指示の下で行われます。
この記事の要点
- 理学療法士と作業療法士は同じ法律、言語聴覚士は別の法律に基づく国家資格
- 対象の違い:基本動作(PT)、日常・社会生活の動作(OT)、ことば・聴覚・嚥下(ST)
- PT・OTは医師の指示の下で業務を行い、STは嚥下訓練などで医師・歯科医師の指示が必要
- 理学療法士身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図る
- 作業療法士身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図る
- 言語聴覚士音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者について、その機能の維持向上を図る
1. 根拠法と 資格の 位置づけ
理学療法士と作業療法士は、どちらも「理学療法士及び作業療法士法」(昭和40年法律第137号)に基づく国家資格です。同法第2条は、理学療法士・作業療法士を「厚生労働大臣の免許を受けて」それぞれの業務を行う者と定義し、第3条で、国家試験に合格し免許を受けた者でなければ業務を行えないと定めています。
言語聴覚士は別の法律「言語聴覚士法」(平成9年法律第132号)に基づく国家資格です。同法第2条は、言語聴覚士を厚生労働大臣の免許を受けて音声・言語・聴覚の障害に関する業務を行う者と定義しています。3職種はいずれも厚生労働大臣の免許による国家資格という点で共通します。
- 理学療法士・作業療法士の根拠法は理学療法士及び作業療法士法
- 言語聴覚士の根拠法は言語聴覚士法
- 3職種とも国家試験合格と厚生労働大臣の免許が必要
2. 理学療 法士:基 本動作の 回復を 支援
理学療法士及び作業療法士法第2条第1項は、理学療法を「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義しています。対象は身体に障害のある人です。
基本的動作能力とは、起き上がる、座る、立つ、歩くといった、日常生活の土台になる身体の動きを指します。理学療法士は同法第2条第3項により、医師の指示の下に理学療法を行うこととされており、病院や施設で医師・看護師らと連携しながらリハビリテーションを担います。
- 対象は身体に障害のある人
- 手段は運動療法と電気刺激・マッサージ・温熱などの物理的手段
- 医師の指示の下で業務を行う
3. 作業療 法士:日常・社会生活への 適応を 支援
同法第2条第2項は、作業療法を「身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう」と定義しています。理学療法士と違い、対象には精神に障害のある人も含まれます。
応用的動作能力は、食事や着替え、入浴といった日常生活の動作や、家事・仕事など生活場面での動作を指します。作業療法士は作業活動そのものを治療の手段として用い、理学療法士と同じく医師の指示の下に業務を行います(同法第2条第4項)。この点が、基本動作を扱う理学療法士との進路選びの分かれ目になります。
- 対象は身体・精神に障害のある人
- 手芸・工作などの作業活動を通じた支援
- 目指すのは応用的動作能力と社会的適応能力の回復
4. 言語聴覚士:ことば・聴覚・嚥下を 支援
言語聴覚士法第2条は、言語聴覚士の業務を、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者について、その機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことと定めています。対象となる機能が「ことばと聞こえ」である点が、PT・OTとの大きな違いです。
食べる・飲み込む機能への支援も言語聴覚士の領域です。言語聴覚士法第42条は、診療の補助として行う嚥下訓練や人工内耳の調整など厚生労働省令で定める行為については、医師又は歯科医師の指示の下に行うこととしています。また同法第43条は、主治の医師・歯科医師の指導を受け、連携を保つよう努めることを求めています。
- 対象は音声・言語・聴覚に障害のある人
- 訓練のほか検査・助言・指導も法定の業務
- 嚥下訓練などは医師・歯科医師の指示の下で行う
5. 資格の 取り方と 選び方の 目安
理学療法士・作業療法士になるには、文部科学大臣が指定した学校や厚生労働大臣が指定した養成施設などで3年以上必要な知識と技能を修得し、国家試験に合格することが法律上の道筋です(理学療法士及び作業療法士法第11条・第12条)。言語聴覚士も、言語聴覚士法第33条が定める指定の学校・養成所などで学んだ者に国家試験の受験資格があります。
選ぶ際の目安は、支援したい対象で考えることです。立つ・歩くなどの基本動作に関わりたいなら理学療法士、日常生活や社会参加の回復に関わりたいなら作業療法士、ことば・聞こえ・食べる機能に関わりたいなら言語聴覚士が、それぞれの法律が定める専門領域です。養成課程の内容も異なるため、学校選びの前に各資格の業務範囲を確認しましょう。
- 3職種とも養成施設等で学び国家試験に合格する流れ
- 対象で選ぶ:基本動作=PT、生活動作と社会適応=OT、ことば・聴覚・嚥下=ST
- 養成課程は資格ごとに異なる
執筆・確認情報
- 執筆
- manapick career編集部
- 編集
- manapick編集責任者
- 出典台帳の記録日
- 2026-10-29
- 確認方法
- 公的資料と一次情報を出典付きで整理。自動監視による資料の変化検知と、本文の正確性の確認は区別します
参照した公式情報
- e-Gov法令検索(デジタル庁)確認日 2026-10-29/2026-10-29にe-Gov法令検索で条文本文を開いて確認した。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)確認日 2026-10-29/2026-10-29にe-Gov法令検索で条文本文を開いて確認した。第42条の行為例は厚生労働省資料でも確認した。
誤りにお気づきの場合は訂正窓口へお知らせください。過去の資料に基づく記事は、その時点の記録として案内します。
この記事の内容確認日:2026-10-29