manapick career
メニュー
ガイド一覧へ
職業の違い

医師と歯科医師の違い|全身の医業か、歯と口腔の歯科医業か

医師と歯科医師は、どちらも国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受ける国家資格ですが、根拠法が医師法と歯科医師法に分かれ、独占する業務も「医業」と「歯科医業」で別々です。医師の任務は医療及び保健指導で対象は全身に及び、歯科医師の任務は歯科医療及び保健指導で、歯や口腔の領域を担います。免許は相互に通用せず、医師免許で歯科医業を行うことも、歯科医師が医業を行うこともできません。臨床研修の期間も、医師は2年以上、歯科医師は1年以上と異なります。

SHAREこの記事を共有する

内容を変えず、計測用URLだけを付けます。

目次を開く
  1. 01結論:別の法律、別の免許、別の独占範囲
  2. 02医師の任務:医療及び保健指導を掌り、全身を対象とする
  3. 03歯科医師の任務:歯科医療及び保健指導を掌る
  4. 04重なる領域:口腔外科と、越えられない免許の線引き
  5. 05資格の仕組みと選び方:医学課程か歯学課程か、研修は2年か1年か
先に結論

この記事の答え

違いの軸は「どの法律に基づき、何を独占するか」です。医師は医師法に基づく国家資格で、医療及び保健指導を掌ることが任務とされ、医師でなければ医業を行うことができません(医師法第1条、第17条)。歯科医師は歯科医師法に基づく国家資格で、任務は歯科医療及び保健指導に限られ、歯科医師でなければ歯科医業を行うことができません(歯科医師法第1条、第17条)。つまり二つの免許は並立しており、医師は全身の診療、歯科医師は歯と口腔の診療を担います。口腔外科のように口腔をめぐって両者が関わる領域はありますが、免許の独占範囲はそれぞれの法律で分かれています。

この記事の要点

  • 医師は医師法に基づき医業を独占し(第17条)、任務は医療及び保健指導(第1条)。歯科医師は歯科医師法に基づき歯科医業を独占し(第17条)、任務は歯科医療及び保健指導(第1条)
  • 免許は相互に通用しない。医師免許では歯科医業を行えず、歯科医師は医業を行えない。口腔外科は歯科の診療科名(歯科口腔外科)にも組み込まれた接点の領域
  • どちらも大学の正規課程(医学/歯学)を卒業して国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける。臨床研修は医師が2年以上、歯科医師が1年以上
数字で見る

診療に従事するための臨床研修の期間

医師2年以上
歯科医師1年以上

どちらも国家試験に合格し、免許を受けた後に受ける臨床研修です。

SECTION 01

1. 結論:別の法律、別の免許、別の独占範囲

医師と歯科医師は、どちらも「お医者さん」と呼ばれる国家資格ですが、制度の土台は二つに分かれています。医師は医師法、歯科医師は歯科医師法という別の法律に基づき、それぞれ別の国家試験と別の免許(どちらも厚生労働大臣が与える)で成り立っています。

決定的な違いは独占範囲です。医師法第17条は医業を医師に、歯科医師法第17条は歯科医業を歯科医師に限っており、一方の免許が他方の業務をカバーすることはありません。対象でいえば、医師は全身、歯科医師は歯や口腔という役割分担が、法律の構造から読み取れます。

  • 医師は医師法、歯科医師は歯科医師法に基づく別の国家資格
  • 医業は医師に、歯科医業は歯科医師に限られ、免許は相互に通用しない
SECTION 02

2. 医師の任務:医療及び保健指導を掌り、全身を対象とする

医師の任務は、医師法第1条に「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」と定められています。「歯科医療」と限定する歯科医師法第1条と比べると、医師の任務には対象部位の限定がなく、内科・外科をはじめ全身の診療に及ぶ書き方です。

医師には、診療の進め方に関する義務も定められています。応召義務(第19条)、自ら診察しない治療や処方せん交付の禁止(第20条)、療養方法等の指導(第23条)、診療録の記載と5年保存(第24条)です。大枠は歯科医師にも共通しますが、検案を行い検案書を交付することや出生証明書の交付は、医師に固有の役割です(第19条第2項、第21条)。

  • 医師の任務は医療及び保健指導で、対象部位の限定がない(医師法第1条)
  • 応召義務、自ら診察しない治療の禁止、療養指導、診療録の5年保存が義務(第19条、第20条、第23条、第24条)
  • 医師には検案や出生証明書の交付など、歯科医師にはない役割もある
SECTION 03

3. 歯科医師の任務:歯科医療及び保健指導を掌る

歯科医師の任務は、歯科医師法第1条で「歯科医療及び保健指導を掌ること」と定められています。医師法第1条の「医療及び保健指導」と並べると、歯科医療に限定されている点が両資格の担当範囲の違いを示します。独占規定も対になっており、歯科医業は歯科医師でなければ行うことができません(第17条)。国家試験の範囲も、歯科医師は「臨床上必要な歯科医学及び口腔衛生」です(歯科医師法第9条)。歯科医師の義務や歯科衛生士との関係の詳細は、別ガイド「歯科医師と歯科衛生士の違い」で整理しています。

  • 歯科医師の任務は歯科医療及び保健指導(歯科医師法第1条)、歯科医業は歯科医師のみ(第17条)
SECTION 04

4. 重なる領域:口腔外科と、越えられない免許の線引き

混同されやすいのが口腔外科です。あごや口腔の外科的治療は、病院の口腔外科と歯科の歯科口腔外科の双方で見かけます。制度上も、医療法施行令第3条の2が定める広告できる診療科名では、歯科医業について「歯科」と口腔外科等を組み合わせた名称が認められており、口腔外科は歯科医師が担う領域としても制度に組み込まれています。口腔という部位をめぐって、医師と歯科医師の仕事が近づく領域があることは確かです。

ただし、重なりがあることと免許が通用することは別です。「医師免許を持っていれば歯科治療もできる」という理解は誤りで、歯科医業は歯科医師に限られます(歯科医師法第17条)。逆に歯科医師が医業を行うこともできません(医師法第17条)。両資格の持ち主が関わり得る場面でも、行える行為はそれぞれの免許の範囲で決まります。

  • 歯科の診療科名には「歯科」と口腔外科等を組み合わせた名称が認められている(医療法施行令第3条の2)
  • 医師免許では歯科医業を行えず、歯科医師は医業を行えない。免許の独占範囲は相互に越えられない
  • 口腔領域は接点だが、行える行為はそれぞれの免許の範囲で決まる
SECTION 05

5. 資格の仕組みと選び方:医学課程か歯学課程か、研修は2年か1年か

取得の入口は、大学で学ぶ課程から分かれます。医師は医学の正規の課程を修めて卒業し(臨床実習前の共用試験への合格が要件)、国家試験に合格して医籍への登録で免許を受けます(医師法第11条、第2条・第6条)。試験は厚生労働大臣が毎年少なくとも1回行います(第10条)。診療に従事するには、指定病院等で2年以上の臨床研修が必要です(第16条の2)。

歯科医師も入口は同じ構造です。大学で歯学の正規の課程を修めて卒業し、国家試験に合格して歯科医籍への登録で免許を受けます。医師との差は臨床研修の期間で、歯科医師は1年以上です(歯科医師法第16条の2)。進路の目安は、学びたい学問と診たい対象で決まります。全身の診療を担いたい人は医学部へ、歯と口腔の診療を専門に担いたい人は歯学部へ進むことが、それぞれの法律が定める入口です。確認先はe-Gov法令検索の医師法と歯科医師法です。

  • 医師: 医学課程を卒業→国家試験→医籍登録で免許。診療には2年以上の臨床研修
  • 歯科医師: 歯学課程を卒業→国家試験→歯科医籍登録で免許。診療には1年以上の臨床研修
  • 確認先: e-Gov「医師法」「歯科医師法」

執筆・確認情報

執筆
manapick career編集部
編集
manapick編集責任者
出典台帳の記録日
2026-10-29
確認方法
公的資料と一次情報を出典付きで整理。自動監視による資料の変化検知と、本文の正確性の確認は区別します

参照した公式情報

  • e-Gov法令検索(デジタル庁)確認日 2026-10-29/2026-10-29に条文本文を実際に開いて確認。第17条(歯科医師でなければ歯科医業をなしてはならない)を確認。歯科助手の資格規定は同法にない。
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)確認日 2026-10-29/2026-10-29に条文本文を実際に開いて確認。第1条(医療及び保健指導を掌る)、第2条・第6条(試験合格と医籍登録による免許)、第9条・第10条(試験は臨床上必要な医学及び公衆衛生)、第11条(受験資格)、第16条の2(診療には2年以上の臨床研修)、第17条(医業の独占)、第19条・第20条・第21条(応召義務、検案、出生証明書)、第23条(療養指導)、第24条(診療録5年保存)を確認。
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)確認日 2026-10-29/2026-10-29に条文本文を実際に開いて確認。第3条の2(広告できる診療科名。歯科医業については「歯科」及び「歯科」と小児・矯正・口腔外科等を組み合わせた名称が定められている)を確認。

誤りにお気づきの場合は訂正窓口へお知らせください。過去の資料に基づく記事は、その時点の記録として案内します。

この記事の内容確認日:2026-10-29